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Summertime

今年は新盆を迎える者が多く、いつも以上に重たい夏だった。
夏の終わりにジャニス・ジョップリンの「Summertime」を聴きながら、ゆく夏を惜しむようになったのは、いつからだろう。

この夏もなかなか苦しかった。
今年の夏も、気に入っている白い籠バックを使うことがなかった。
どうやらこの夏のピークと共に、私の不調も無事に過ぎてくれつつある。

子供の頃から皮膚が弱く、春夏は樹の下を歩くだけで植物や虫にかぶれ、低学年の頃は体中に茶色くて臭い薬が塗られて包帯を巻かれ、夏でも長袖を着ていた。
新聞を取りに出ただけで、薔薇の毛虫にやられて体中腫れ上がって高熱を出し、肝臓へ働きかける解毒のための大きな注射を打たれたことも複数ある。
薬が進歩したこともあり、子供の時よりもさすがにましというものの、今年も皮膚は五重ぐらいに異常が出た。たかが皮膚のことといえども、それ一つ取っても眠りや日常が奪われる。
皮膚も骨も免疫も…この世界に適合できない体で生まれてしまったようで、慣れることができない。

空調の効いた部屋にいて、食べるもの着るものも充分でも、夏も冬も越えるのが苦しい。この先を思うと、打ちのめされかけるが、いまだ避難所や仮設住宅で不自由な暮らしをされている高齢者や体の不自由な方々、ソマリアでの飢えている人々へ思いを馳せる。

ぜひ避暑に長野にと言われていて、今年の夏こそと思っていた友人のところに行くことができなかった。目の不自由な友人なので、私が行かなければ、なかなか会うことが難しく、約束をずっと果たせないでいる。
しばらく部屋に引きこもってひたすら耐えていたが、顔の腫れがだいぶん引き、痛みがなく食べることができるようになって、やっと外に出て入ったカフェでのランチが、うれしかった。
お店では、すっかり秋物のウールのニットが売られていた。


110816_130254.jpg


安全な部屋にいて、ちゃんと眠り、食べ、歩くことができる…
恵まれていることを感謝して、日々を送るしかない。
そして、その自分に与えられている恵みを、他の人と分かち合うことができる。

11月のソロライブ「フォルテピアニシモ」に向けて、少しずつ動き出す。
ずっと部屋にいたので、いつもより早くライブのラストを書き上げる。
焦らないように、壊さないように、そっとそうっと、トレーニングを開始している。
今年は、いつも以上によいものを届けたい。


いつも漠然と聴いていた「Summertime」だが、ひろえみちゃんに子守唄だと教えられてから改めて見てみると、確かに「おまえの父さんは金持ちで、母さんは美人」というような歌詞がある。
「ベイビー。泣かないで。」と繰り返しているが、あまりに激しい切迫感なので、悲憤にくれる自分自身や恋人に泣くなと唄っているのかと思い込んでいた。

当時のアフリカ系アメリカ人の生活、「Child, you're living easy. 」この歌詞の響きの重さ…
そして、ヘロインとアルコールで若くして逝ったジャニスの孤独と絶望…

なぜ私がこれを夏の終わりに聴きたかったのかが、改めて分かった気がした。




Summertime, time, time,
Child, the living's easy.
Fish are jumping out
And the cotton, Lord,
Cotton's high, Lord so high.
Your daddy's rich
And your ma is so good-looking, baby.
She's a-looking good now,
Hush, baby, baby, baby, baby now,
No, no, no, no, no, no, no,
Don't you cry, don't you cry.

One of these mornings
You're gonna rise, rise up singing,
You're gonna spread your wings, child,
And take, take to the sky,
Lord, the sky.
But until that morning,
Honey, n-n-nothing's going to harm ya,
No, no, no no, no no, no...
Don't you cry — cry.

(Janis Joplin  「Summertime」)
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

********************

フォルテピアニシモ vol.14
 
~ Keep the holy fire
       burning ~

伊津野 重美 朗読

2016年11月3日(木・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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