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「光のほうへ」 Submarino

舞台は、デンマーク、コペンハーゲン。

アルコール中毒の母が育児放棄した幼い弟を兄弟で育てていたが、死なれてしまう。
親の愛情を知らないで育った兄弟にとって、その弟が悲惨な状況のなかでの救いであったのだ。
最愛の者を亡くし、その自責の念もあって、どんどん道を誤ってしまう。
親からも愛されなかった者は、愛し方が分からない。また、心の傷から逃れる術を知らない。わずかに手に入れた幸せまでも、自らの手で潰してゆくようだ。

街中でもコペンハーゲンの景色が寒そうで寂しく、子供の出てくるシーンが魅力的で美しいゆえに、自滅の道を選んでゆくような兄弟の姿が、いっそう悲しい。
ほんとうは、すぐそこにある愛をうまく掴むことができない。

原題は、原作の小説と同じ「Submarino」で、潜水艦・・・?と思ったが、水中に頭を突っ込まれる刑務所内での拷問のことを表しているようだと知り、はっとする。

息ができない苦しみのなかで、束の間、水面に出されて息を吸い込むや、また水に漬けられるて、もがき、苦しみ、渇望する。
なぜそんな選択をしてゆくのかと、日本では見ているものは安全なところから歯がゆく思うかもしれないが、大きな心の傷のせいなのだ。
守られるべき親からの愛でなく、暴力の刷り込みを受けた者は、感情を暴力で発することしかできない。
暴力も悲しみも抑えて描かれているが、その極限の苦しみの大きさが、そこに残っている気がした。おそらくその苦しみはフィクションではなく、原作者にも、これに近い体験があったのではないかと感じた。

失っても、失っても、なお生きてゆかなければならない。
自分を救うことができなかった者が、人のために歩き出そうとする。
誰かが生きていることが、救いとなる。

人は孤独では生きることができず、愛による傷は、愛によってしか癒されない。
絶望の果てに、一筋の光が見えた。

「光のほうへ」Submarino
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

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立春ポエトリーリーディングライブ

2月3日(土)下北沢lete
ナマステ楽団
(末森英機+
ディネーシュ・チャンドラ・ディヨンディ)
+伊津野重美

Open 14:00 / Start 14:30
Charge 予約 ¥2,000 + drink
当日 ¥2,300 + drink

チケット予約  
http://www.l-ete.jp/live/1802.html#d03

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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