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『きみ去りしのち』 まほろば

気がつくと私は、最近とみに喪失と再生の物語ばかりを読んでいるようだ。
いや、それは、ずっと前からだった。別れの準備をしてきたのだろう。

重松清の『きみ去りしのち』は、子供を亡くしてしまった男の魂の回復の物語だった。
巡礼のような旅のなかで、人と出会い、大切な人を失った悲しみやその後のそれぞれの人生と向き合う。そして、また一つの命を見送る。
その過程のなかで命を見つめ人間を見つめ、幼い我子を死なせてしまった悔恨とその悲しみから立ち直ってくる。

流氷や月虹や砂時計の話などが美しい。
そして、日本の風土…
私も目にしたことのある、天草の精霊流しや、去年行ったばかりの出雲も出てきて懐かしい。
そして、祖父の告別式のため5月に帰った際に、後片付けなどで一週間ほどを空けていたのだが、納骨までその日に終わってしまい、思いがけずに早くフリーになってしまい、五月晴れのなか、天草か阿蘇に足を伸ばそうかよほど迷った。
が、疲れていて、どこにも寄らずに帰ってきた。

子供の頃から熊本に度々帰りながらも、私は草千里も不知火も見たことがない。
九州への帰省は、いつもずっと重いものだったが、今では、懐かしい友人達がいる大切な場所の一つになった。

大人であるかぎり誰もが、大切な人の喪失の苦しみのなかを生きている。
そして、生きているかぎり、苦悩は次々に起きてくる。悲しみは、薄れても消えることはない。
だが、辛い思い出も、それに向かい合い乗り越えようとする現在の自分の意志や、何より大切な人の存在や笑顔によって塗り替えられ、新しい未来になることができるのだ。

祖父の初めての法要が終わった。


 この世で過ごす最後の場所は、まほろばであってほしい。亡くなったひとが見ることは叶わなくても、あのひとは美しい景色の中を旅立っていったのだ、と思っていたい。
(『きみ去りしのち』 重松清)
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

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フォルテピアニシモ vol.14
 
~ Keep the holy fire
       burning ~

伊津野 重美 朗読

2016年11月3日(木・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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