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茂泉朋子さん『かばん』今月の一首 転載

伊津野重美 歌集「紙ピアノ」  風媒社 2005年

ラベンダーは種から香ることなどを太平洋を挟んで話す

伊津野重美の言葉は精緻で鋭利だ。短歌が文字として表現される時も朗読される時も、ブログなどで綴られる短歌以外の言葉についても同様である。その妥協を許さない真摯さは、危篤状態を経験するほどの健康状態や作品から伺える肉親との軋轢と絶えず向き合ってきた生育歴から、必然的に伊津野が身につけてきた生への真剣さであろう。二〇〇五年に上梓されたこの第一歌集も、漫然とした読みを許さない緊張感にあふれている。
 歌集全般を通し、病身との葛藤と生きる意志が歌われている。ひりひりするような短歌の数々は、それだけでも十分な力をもって読み手に迫る。しかし、もしそれだけであったら,この歌集は自らの痛みを吐露し昇華するという、筆者自身の癒しの過程としての役割しか担わなかったであろう。それでは伊津野の歌集や朗読が多くの人に希求されるものにならなかったはずなのである。
 掲出歌は『紙ピアノ』の中にある歌としては、右記のようなテーマからやや離れた視点で歌われている。上句の、ラベンダーの種子という生命の始まりがすでに固有の香をもつという気づきから、下句の太平洋を挟む対話へ。微視から地球規模への視点の広がりと、嗅覚から視覚への感覚の転換があり、主体と対話の相手との、距離を越えた結びつきが感じられる。極限に近い思いが綴られた歌集を読み進める中で、このような歌には、世界と他者をしっかりと受け止めた肯定感がある。苦しさに溺れることなく己の外界を愛する力。それが伊津野の短歌を、万人に響く祈りとしているのである。

                     茂泉朋子 『かばん』 2009年5月号
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

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立春ポエトリーリーディングライブ

2月3日(土)下北沢lete
ナマステ楽団
(末森英機+
ディネーシュ・チャンドラ・ディヨンディ)
+伊津野重美

Open 14:00 / Start 14:30
Charge 予約 ¥2,000 + drink
当日 ¥2,300 + drink

チケット予約  
http://www.l-ete.jp/live/1802.html#d03

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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