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笹井宏之「ひとさらい」批評会 ―絆―

午前中は結局動けず、お昼を食べて会場に向かう頃、雨が降り出した。

会場に入るなり、泣き出した人に抱きつかれたので、激しく動揺…@
「(泣かしたのは)私じゃないよう。。(私なの?)」と狼狽する。
ごめんよう。忙しいかと思ったので、ランチに誘わなくて…(そんなことじゃないのかな?)それにしても、きれいな人の涙は、なんてきれいな瞳で、なんてきれいなんでしょう。私だと、ぐずぐずに見苦しくなる。

姿から一行の詩のような笹井宏之さんに再会。
その場にいられることの喜びを噛みしめる。

よい会になるだろうと予想はしていたが、やはり、笹井さんのお人柄と才能、治郎さんの温かさと短歌や短歌仲間への愛、穂村さんの透徹と、会場の静かな熱に包まれて、さまざまな意見は出たが、みなが同じ方向を向いているような、遠くから無理しても、やっぱり行ってよかったと思える会になった。
笹井さんの短歌には、やはり時代とか世代的なものが濃厚だと思っていたので、穂村さんのご指摘にはとても納得がいき、会場からの発言で改めて解ることも多かった。

この日、なかでも私が打たれたのは、おそらくほとんどの細かい仕事を引き受け、機動力になっていたと思われる須藤歩実さんの細やかで的確な仕事ぶりであった。
私の去年の九州公演の時もそうであった。直接のスタッフではなく、アフタートークへの出演者であったのだが、神経質な私が安堵できるよう、イベントがよいものになるよう、歩実さんから細やかな配慮が事前からあり、どんなに支えられ助けられたか分からない。

自分がイベントをたくさん作ったり出演したり、参加して思うのは、よいイベントになるか否かは、出演者ではどうにもならないところがある。
九州公演をきれいなものにしていただけたのは、何より企画の渡辺玄英さん、ひぐらしひなつさんが素晴らしかったからであるが、それに加えて、他の出演者の須藤歩実さんや浦歌無子さん寺島香さんが、純粋できれいだったからである。一人でもエゴで動く者、あるいは、己の小ささで全体が見渡せない者がいると濁りや弛みが加わり、途端にイベントの質は下がってしまう。

闘病中の笹井さんのために会場の隅に衝立がしてあり、何かの時には笹井さんが横になることができる場所が、歩実さんの手によって作られていて、とてもうれしかった。
そうなのだ。自分のために来てくれた人が、自分のために語ってくれている場で、どんなに具合が悪くとも退出したくない。起きていられなくても、その場にいたいのだ、
私もずっとただ起きていることが難しい。当日は気が張っていて、おそらくは歯を食いしばってでも使わない場所であろうが、そのような配慮が保険としてあることによって、病の人間には、どんなに心強くありがたいことだろう。

また、選んであった笹井さんへの花束にも打たれるものがあった。
自分がライブなどで一度に複数のお花をいただくようになって感じたのは、人へ贈る花はその相手を思って当然選ぶのだが、心を込めて選ばれたお花は、不思議と贈ってくれた人を表していて、その人らしい。
あまがみちゃんの花束は、まさに、あまがみちゃんのように素朴で可憐だった。そして、四月の公演で、初めて赤ちゃんから離れて来てくれた産後間もない人は、赤ちゃんを思わせるような優しい質感と色合いの花束で、思わず泣く。
そして、今回の笹井さんへの花束も、一輪一輪を吟味して選んでいることが分かる、実に心の籠もった意志のある花束で、ただきれいなだけでなく、一目見て打たれた。

友人代表でその素晴らしいお花を渡すように言われ驚く。同世代や仲間などの、もっと相応しい人がいると思い固辞した。私としては、笹井さんの好敵手のしんくわさんがいいように思えたのだが…
断り続けていて、前に、ひぐらしひなつさんの批評会の時に、私がお花を選んだことを思い出した。なんとなく、ひなっちは、青い花が好きだろうと思い探したが、季節のせいか、あいにく青い花を見つけられずに時間切れで、ありきたりの花束になってしまった。
渡す人を菊池に頼むと、やはり目立った場所が苦手な人は嫌がったが、「君が渡すのが、一番ひなっちが喜ぶ」と言うと観念した。
お目出度い席であり、会の細かいところを創り上げた歩実さんの気持ちなので、私も観念する。私はただ代表なのだ。そこに集まった友人達、そして、ここに来たくて来られなかった人達の…

会が終わって、ほっとしていると、「君達は相変わらずスキンシップに余念ないね」と穂村さんに言われ、ひなっちに知らぬ間にくっついていたことに気付く。私達ファミリーは、からまっているのが常態のようである。
会場を出る時に、「雨降っているかなあ」という穂村さんに、会の途中から激しく雨音がしてたと答え、外に出ると、やはり雨は激しく降っていたので、「ね?すごく降ってるでしょう?」と言うと、「さすが獣だね」と言われた。

笹井さんが二次会の後にも残っていたのが気になったが、雨に濡れて寒くなったので、来月のイベントに備え早めに失礼する。
まだ大丈夫だと思っていたが、お風呂に入ると力尽きる。
この場所に来たかったであろう北の人に、なんとかその日のことをメールをすると、いくつもの四つ葉のクローバーのマークがついた返信が返ってきた。これは、今博多にいる会いたかった人の数だと思った。北のそこでは、桜が散ったばかりらしい。
しんくわさんが、いつか行くって言ってたよ。私もまたそこに帰るから…

歩実さんが笹井さんに用意した美しい花束には、みなからのメッセージが入りのカードが入っていて、表には「絆」と書いてあった。
美しいものや美しい瞬間をたくさん摂取して、生き返る思いであった。


 ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす 
                           笹井宏之 『ひとさらい
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

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フォルテピアニシモ vol.14
 
~ Keep the holy fire
       burning ~

伊津野 重美 朗読

2016年11月3日(木・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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