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【短歌の祈り/詩の言葉】メインスタッフ和泉僚子さんの日記 1

文化のイベントラッシュをしめくくるこの2週間の間に

朗読を1つ
音楽会を2つ
旅行も2つ(いや、実家行きも含むけど)

経験してきました。
たくさんの初めての人と出会い、たくさん話したり、ご飯を食べてきました。
放出が続き、いささかへろへろです。
しかし、日記が書けなくなっていた理由は別にあったのでした。


この前テレビで「1年間におよそ何回泣いたか」というクイズがあっており、皆が30~40回と答えるなか、タモリが「1回」と答えていました。タモリ、本当にすごい。

「泣く」ということについて。
身体が受ける痛みや肉親友人の死という直接的な悲しみ以外の
映画や小説を読んで泣くという行為は、その媒体に対して自分が共感し同調してしまうからなのだろうと考えた。
母親が死ぬ話を読んで子どもが泣く、というのを例にとれば、あれは実生活とフィクションの境界が分からなくなり、自分の母親までが死んだように思えるからなのだと説明がつく。
その話はフィクションの世界のものだと、境界がはっきりすればこちらの彼岸から安心して冷静に物語世界を眺めることができるのだろう。死んだのは私の母親ではないのだと。
とすれば、涙もろい人とそうでない人の区別は、その境界線を計るセンサーの精度によるものなのだろうか。

むやみやたらとだらだら泣いていては生活もできない。信用もされないかも。
ラテンに属さぬこの日本では、他人のことで無責任に泣くことはあまり美徳とされなくて
かくして大人になるにつれ、自ずとセンサーの精度は上がっていくのかもしれません。



11月17日、福岡市文学館の伊津野重美さんの朗読会で
私はそのセンサー、いや、「たが」と呼んだがふさわしいだろうか。それが飛んでしまった。
朗読のⅠ部では怖くておろおろ泣き、Ⅱ部では骨まできりきりと絞り上げられるような痛い感情に泣いた。
私のセンサーには、対象に対して「哀しみ」とか「喜び」とか言葉を振り分けて着地させるような副機能も着いている。言語化することで着地させ、そこから理解してきたような気がする。
しかし伊津野さんの朗読は、私の拙いセンサーなんか軽く吹き飛ばしてしまった。
彼女の放つ言葉は私の既成概念を軽く吹き飛ばし、理解という名で言葉を捕獲しようとする行為すら愚かに思えた。
あの朗読に私はものの見事に木っ端みじんとなったのであり、今でも文学館2階の隅には
私を構成していた部品がいくつか落っこちているはずである。

外的世界のことを言語化して認識するということは、なんて安心できる行為だったんだろう。
その機能が一瞬にして吹き飛び、私は自分の存在に自信が持てなくなり
不安で寂しくておろおろ泣いた。
おろおろとは愚かのおろか?
センサーは壊れっぱなしだったので、この2週間はよく泣いた。
生まれ故郷の天草の海をみて涙ぐんだ。イルカウォッチングで船酔いし、しまりなく涙が出た。かつていろいろ言われたことや読んだ本を思い出し、とうとうと泣いた。好きな人のことを思いしくしくと泣いた。不安でたまらないので友人にたくさんメールし、暖かい返事にはらはらと泣いた。

先週の日曜、于波(ウハ)の弾くチェロを聞きに行った。

カザルスの「鳥の歌」、サン・サーンスの「白鳥」。ラテンの申し子のような彼の静謐な音楽。
「スペインの鳥はピース、ピースと鳴くのです」というあの有名なカザルスの話を知らなくったって、目の前に今聞こえる「鳥の歌」は、ただただ美しかった。
「美しい」とかいう言葉をあてはめたくもなくて
私は浮かんでくる言葉を無視しつづけた。
そんな私の葛藤なぞまったく関係なく「白鳥」は奏でられ、そこに現出し、私を震わせた。

そうして再び、私はのろのろとあの体験を言語化して日記に書こうとしています。
仕方ないのです。だって言語化とは私にとって考えるという行為と同義語で、
それはすなわち「生きる」と同じ意味なのだから。
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

********************

フォルテピアニシモ vol.14
 
~ Keep the holy fire
       burning ~

伊津野 重美 朗読

2016年11月3日(木・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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