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◇雨の匂い 虹の匂い◇ (元)河井澪さん

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「雨の匂い 虹の匂い」感想
イベントへ出かけるために家を出ると曇り空で、雨の匂いがした。これは降るなと思っ
て傘を持つことにした。
イベントが終わるまで降らなければいいなと思いながら歩き出した。

out-loungeはこれまでにも短歌の朗読イベントがたびたび行われたりしてきたけれど、
11月でビルそのものが取り壊しなのだそうだ。
もっとも、その前提で期間限定のスペースとして運営されていたわけだが、そういう
タイミングにこの場所で、このイベントが開催になったのはなんとなく偶然じゃない
ような気がする。
場所が持つ空気というか、ちからというものもライブイベントには影響を与えるもの
だ。

開演前の出演者の表情をかいまみると、充実しているような気がした。
みんな内側にしっかりと密度を持つことができているような、つまり準備段階でちゃ
んと把握できているというような安定感みたいなものか。

それでなんとなく場の雰囲気も安定している感じがあって、安心していられた気がす
る。空気は伝染する。

いちばん最初はユーリさん。トップバッターというのは緊張するものだ。まだお客さ
んの雰囲気もできていないし、それをつかんでまとめていかなくちゃならない。でも
トップバッターとしての緊張はあったものの、落ち着いてたと思う。たぶんきっと、
自分の読みたいものを読めていたからだろう。彼女の朗読の魅力はその強さだと思う
けれど、それが過不足なく発揮されていてとてもよかったと思う。

つぎに小夜さん。ユーリさんはそのまま今度は小夜さんの朗読に加わる。
小夜さんは今回のプログラムの中でいちばん朗読回数が多い。コラボレーションの関
係でほかの人たちより2回ほど多いのだが、小夜さんの実力というのはその柔軟性の
なかに隠されている。いろんな人と合わせられる。だけどちゃんと線を引いて世界観
を守っていられる。小夜さんの朗読の世界観はやわらかに広がるろうそくの光みたい
に灯されている。今回のイベントの、朗読全体のベースラインをひそかに支えていた
のは小夜さんの朗読力だと思う。

そしてキキさんが加わって3人でアスパラガスさんの詩を朗読。
アスパラガスさんはネット上でしか作品を発表していなくて、しかもそれは投稿形式
の場所だけだから作品集としてまとまっているわけでもない。でもすごく良い詩を書
いているので知られていないのがもったいない人である。
それを今回友人でもある3人がチョイスして朗読するというのはとても素敵なアイディ
アでありリスペクトなのだと思う。

最後にキキさんの作品を3人で朗読して詩人編終了。きれいにまとまった構成だった。

そして短歌のかたのトップバッターとして雪舟えまさん。
僕は雪舟さんは作品も朗読も初めてだったのだけど(もしかしたらベンズカフェで接
したことがあるかも?だとしたらごめんなさい)とても良かったです。大発見したよ
うな気持ち。静かで、ともするとか細い朗読と受け取られかねないかもしれないけれ
ど、ささやくように語りながら作品はユニークで、ときに笑えたり、どきっとしたり、
実は今回いちばんエッジが立った言葉だったかもしれない。印象に残りました。

その雪舟さんとキキさんがいっしょに朗読。並んだ姿は姉妹のよう。
でもなぜかここではそういうことが、豊かさを感じさせるものに思えたのでした。

このイベントは詩人と歌人のセッションだったわけだけど、対立するのではなく、理
解し合い、楽しみながら交流している、あたたかく、輝きのあるものだったように思
う。
それは、みんな女性だったからとか、世代がほぼ同じだったからという単純なことだ
けではなかった気がする。
そのあたりに企画・主催者である伊津野重美さんの考えや主張やセンスがあるのだと
思う。
やさしいこと、あたたかいこと、やわらかく、つよいしなやかさ、内から出る輝き、
幸福感、そういうものがひとまとまりにあらわれるというのはまれなことだと思う。

姉妹と言えば、このイベントに出演していた7人はみんな姉妹のようでした。7人姉
妹。

休憩をはさんだあと、全体の折り返し地点として伊津野さんの朗読。
構成上の要を押さえる朗読だったけれど、しっかりと歌人として、短歌朗読の表現者
としての立ち位置を示していたと思う。
そういういさぎよさ、きっぱりとした姿勢というのも、イベント主催の要として働い
ていたのだろう。
彼女は挑戦していたのだと思う。

そして伊津野さんと小夜さんのセッション。

全体の流れとして、詩人の朗読ではじまり、出演者がリレーするようにセッションで
丁寧にやわらかく入れ替わりながら中央で伊津野さんが山をつくり、歌人へと交流を
果たしながらつないで全体をまとめている。
音楽的な構成でイメージされているのかなと思う。

セッションも、詩人、歌人がバランスよく配置されていて良かった。

飯田有子さんはユーリさんの詩を朗読。飯田さんとユーリさんにはなにか通じている
ものがある気がする。作品や朗読から受ける印象だけど。だから飯田さんがユーリさ
んの詩を選ぶのは自然な気もする。不思議な納得のしかたかもしれないけれど。

飯田さんの短歌も言葉の組み合わせが際立っていてユニークな、印象強い作品が多い
のだけど、今回はセッションになることで朗読表現での広がりを特に楽しんでいたよ
うに思う。

最後に安田倫子さん。
今回の朗読イベントの中で、安田さんのカラーと言うのはちょっと特別だった気がす
る。
それは、なんというかとても現実的なみずみずしさを持つもので、地に足のついた感
じを意識させるものだったのではないだろうか。
そういう安田さんの詩と朗読が最後にきたのはこのイベントの締めとしてとても落ち
着きを与えるものだったと思う。
雨が降った後の、それこそ虹の匂いが立ちあがるかのような感じと言っては比喩に過
ぎるか。
「雨の匂い 虹の匂い」というタイトルはアリストテレスが雨の降った後の匂いを虹
の匂いだと言ったところから取られているのだとか。
今回のイベントでいえば構成とそれぞれのセッションは雨の光の舞うようであり、ま
ぶしく美しいイメージを発していたように思う。
そして虹の匂いと言うのはここでは、心で感じる幸福感のようなものであったと言え
ないだろうか。

雨の匂いはすでに実際の空気に満ちていたのだから。

出演者のみなさん、イベントを影で支えていたスタッフに徹したみなさん、企画・主
催の伊津野さん、お疲れ様でした。
おめでとうと言いたくなるイベントでした。
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

********************

フォルテピアニシモ vol.14
 
~ Keep the holy fire
       burning ~

伊津野 重美 朗読

2016年11月3日(木・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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