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「宝箱 齋藤陽道 写真展」3月16日まで

去年の秋のライブ以降、不調に落ち、私なりの日常に回帰できないでいた。
なぜかいつでも体に複数の捻挫や筋肉の損傷があり、この冬は、通常以上に体の痛みが強く、デスクにも向かいにくい日が多かった。

ようやく厳しい寒さも緩み、まだ歩きにくいものの、春の陽射しにほっとしながら、やっと行きたかった場所に行くことができた。

「宝箱 齋藤陽道 写真展」
ほんとうは、もっと早く行って、早くご紹介したかったが、長距離を歩きにくい状態で、近くの駅まで行ったものの、これ以上は歩けないと諦めて帰った日もあり、最終日前日に駆け込みとなる。
想像をしていた以上に素晴らしい写真展だった。
久しぶりに眩しいほどの若い才能に打たれた。そして、笹井さんのことが思い出された。


会場は、静かな感動に満たされていた。
スライドショーの上映にも、ありがちな音楽はない。ただ静かだった。
スライドの写真はランダムに流されているそうだが、前の写真から次の写真へのフェイドインとアウトが沁みるように重なり合されて、組写真をみるような、新しい別な写真を見るような、喜びがある。

みなさん静かに鑑賞されていると思ったら、手話で話されている人もいた。
他の人を妨げずに話すことができるなんて、豊かな会話の仕方と思う。
私も座ってゆっくり観たかったが、人の視界を横切ることをしたくなく、壁際に立っていた。
座るスペースは、まだあるものの、私と同じようにしている人達もいた。

このような場所に来ている人は、みな礼儀正しく、エレベーターでも、みな譲り合うので、迷惑にならないように自分から先に降りるようにした。

自然と自らの居住まいを正せられるような場だった。
このように作品の力で、人が人を思い遣る気持ちをつくるなんて。
なんと素晴らしいことだろう。

全館展示というのも、よかった。
写真点数も多く、3階から2階の展示を見下ろすことができるのも、光の断片に輝く、幸福な宇宙に包み込まれているような至福感があった。
世界が、どんなに残酷で苦痛に満ちたものであっても、私たちは、こんなにも幸せになることができる。恐れることはないのだ。

私のような人間は、1、2週間の展示では、行きたくてもなかなか難しい場合が多い。
ワタリウム美術館は、いつもよい企画をしていると思っていたが、長期間での全館展示に美術館の心意気を感じた。
1回チケットを購入すれば、長い会期中に何度も入れるようで、再び足を運びたい場所になっていて、実際に何度も来ている人もいたようで羨ましい。

齋藤陽道さんの写真には、温かな光の球のようなもので人を包もうとしている。
また変なことを言っていると思われるかもしれないが、私はライブの時に、来てくださった方々に、よいものを渡したく、最初の頃は、自らを燃え上がらせるようにして、小さな火のようなものを一人一人の胸に灯すようなイメージでやっていた。その頃には実際に、炎が燃えているのが見たという人もいたし、反響も大きかった。だが、そのやり方では、自分を燃料にするようなもので、非常に消耗が激しく、実際に朗読後に高熱を出したし、長くはもたないと思われた。 
その後、既にある光を降ろし、一人一人を、そして会場全体を包めばいいのだと、ふと気がついた。そうすると、自分も格段に楽になり、またそうしてから、今度は光と闇のことを言ってくださる方が多くなったのであるから、強く願えばなんとかなるというか…不思議なものだ。

近いことをしようとしているのかもしれないが、齋藤陽道さんは、声高には歌わない。押し付けない。悲壮感もない。
けれども、そこには慈しみのようなものが溢れ、世界と人を全肯定するような明るい力があり、世界が美しいことを気付かせてくれる。
なんという真っ直ぐな、強い力だろう…
そこまでに至った作者の越えてきたものが偲ばれた。

私は人から傷つけられることを恐れていた。同様に人を傷つけることも恐れていた。
自分を許せず、自己嫌悪に陥って言葉を発しにくくなっていた私も、また温かく肯定された。
恐れずに、目の前の友人を愛するように、人を、世界を、ただ愛すればいい。
私は、言葉を取り戻した。

よい人達のよい想いで胸がいっぱいになって外に出ると、まんまるい月が見下ろしていた。

世界は、かくも酷く、それでも、美しい…

見苦しい卑小な自分を曝すことが怖くなっていたが、私も、自分にできることをしなければ。
またライブをしよう。



いよいよ息もできないほどに窮まった世界の片隅へ押しやられたとき、ぼくは祈った。
すべてのものがたいらに立っている世界を、うたいたい。

そこへ向かうには自分自身の感動をこそ世界にそそがなければならなかった。
そうすることで、いつかやってくる永い沈黙にもきっと耐えられる。

       (齋藤陽道 『宝箱』 ぴあ株式会社)
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

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フォルテピアニシモ vol.14
 
~ Keep the holy fire
       burning ~

伊津野 重美 朗読

2016年11月3日(木・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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