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北里義之さんのレビュー「フォルテピアニシモ Vol.8」

伊津野重美: フォルテピアニシモ Vol.8 Rebirth

歌人の伊津野重美が、一年に一度、吉祥寺スターパインズカフェで開いている詩の朗読会「フォルテピアニシモ」の季節がやってきた。今年は活動を再開したチェロの森重靖宗との共演が復活した。例年通り、第一部は短歌や断章、散文詩など、自作詩を朗読するコーナーにあてられ、ふたりのセッションは、宮沢賢治、魯迅、尹東柱、山村暮鳥、辺見庸など、他の詩人の作品を朗読する第二部でおこなわれた。インターネットの普及によって、誰もが手軽に言葉に触れ、大小さまざまな出来事に対して沸き起こるきれぎれの思いを、気軽にツイートできるようになったのは、たぶんいいことなのだろう。その一方で、「情報」に様変わりした言葉が、水のように、空気のように、それでも水や空気であれば人の身体を作り命をつなぐものであるからよいけれど、もっと廃物めいた、たとえば廃棄されるジャンクフードのみすぼらしさで、消化はもちろんのこと消費すらされないまま、次から次へと川のようにいずこかへ流れくだっては、二度と読まれることもないというあられもない事態にも、私たちはさらされている。こうした時代に、流れに深く潜行し、ほとんど水面に顔をあらわさず、気の遠くなるような長い時間をかけて詩の言葉を紡ぎつづけるというのは、よほどの忍耐力、よほどの精神力がなくてはかなわぬことではないかと思う。言葉を宝石のように大切にしている伊津野が、声にして人々の前に投げ出す凝縮された「フォルテピアニシモ」のひとときこそは、私たちが出会わなくなった希有な時間の回帰と呼ぶべきものである。


 誰もが自由であることをのぞみ、自分をがんじがらめに縛るものからの解放を求めて関わりを持つ即興演奏であるが、その即興演奏が声になるときがある。もちろん、即興ヴォイスをするというのではなく、また楽器を演奏しながら話したり歌ったりするというのでもなく、演奏そのものが声として聴こえるときがあるのである。今回だけにかぎらず、伊津野重美の朗読を支える森重靖宗のチェロは、つねにそのような声の顕現そのものである。一般的には、おそらく朗読する声に深々としたムードを与える伴奏というふうに聴こえてしまうかもしれないが、伴奏は伴奏でも、それはまさしく、ひとつの感情をもって朗読に寄り添う声のような存在なのであった。深く個に根ざしながら、声を複数化すること。それがここで森重のしていることである。つらい一年間の活動休止期間から戻ってきた森重を、伊津野は「復活」「再生」の言葉で迎えた。「rebirth」とは、文字通り、再びの生を生きること、生きなおすことであろう。それは詩人から与えられた祝福の言葉であるとともに、再びの生を生きよという、神的な響きをもった召命の言葉でもある。言葉は森重だけにむけられたものではなく、第二部で朗読された、詩集『眼の海』(2011年)からとられた辺見庸の詩「死者にことばをあてがえ」にも応答している。


 辺見庸は石巻市出身の作家・詩人である。すでに数多くの震災詩が出版されているが、3.11大震災後の言語状況に抗するように編み出された『眼の海』を選択した伊津野重美は、詩集からさらにもう一篇、「水のなかから水のなかへ」を朗読した。伊津野の声が辺見の言葉を運ぶというのは、ひとつの出来事であり、とても感動的なものだった。詩の選択は、伊津野自身が「いま、読まれる詩だ」と思ったことによるが、内容もさることながら、ここでもまた、森重の参加が、深く個に根ざしながら声を複数化するのとおなじように、伊津野の声が辺見のそれに重なって声を複数化していること、あるいは、観客もまた、ひとつの言葉がいくつもの声で読まれる瞬間をともにしていること、どうやら私はそのことに打たれたようである。これはもちろん詩が詩として成立するための、言葉の共同性の問題に触れている。現代に生きる私たちは、はたしておなじ日本語を話しているのだろうか。もしかすると、それは伊津野がここでしているような不断の努力によって、はじめてあがなえるような性格のものではないのだろうか。言葉を彫琢することが詩集の出版にとどまらないこと、詩を守るためには、複数の声のある共同性へと言葉の身体を開いていかなくてはならないということを、伊津野重美は「フォルテピアニシモ」で示している。
写真「フォルテピアニシモ vol.8 ~ Rebirth ~」
ライブ後に、また少し調子を崩していました。

もし待ってくださっていた方がいらっしゃったら、ごめんなさい。
遅くなりましたが、ライブの写真の一部を公開します。
チェリストの森重さんの格好いい写真は、また次回に。 

今回も撮影は、田中流さんです。
いつも暗くて難しいなかを、流さんにしか撮ることができない温かく繊細な写真になっていて、いつも感謝しています。

また、私のためにわざわざ灯りと舞台を創ってくださる、会場であるSTAR PINE'S CAFEの素晴らしい空間と、美しい照明の様子がご覧になることができると思います。
今回は、会場のご厚意でスモークまでたいていただいたそうですが、私は必死過ぎて気がつきませんでした。
感想などありましたら、教えていただけますと、ありがたくうれしいです。
今回は、私の「フォルテピアニシモ」も、ようやく第2ステージになった気がします。

来年は、もう少し元気になりたいです。
・・・と、毎年ここで言っている気がしますが、もう少し元気になります.

また地震があったり、寒波が厳しかったり、ノロが流行ったりしていますが、みなさまもどうぞお元気で、この冬を乗り越えてください。
そして、来年も、きっとまたここでお会いしましょう。



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はんなさんのブログより「フォルテピアニシモ vol.8」

 遅すぎることはない いつの日もあなた自身が約束だから

文化の日の昨日、伊津野重美さんの朗読ライブに行ってきました(場所は吉祥寺のStar Pine’s Cafe)。
私にとっては2回目の伊津野さんの朗読ライブですが、朗読だけでなく舞台の演出や音楽の使い方など、
やっぱり伊津野さんの朗読は聴かせるものがあるなぁと思いながら聴きました。
何よりも説明を入れずに作品だけを朗読する演出は、聴衆を言葉そのものと対峙させ、
言葉だけが持つエネルギーと創造力に解き放ちました。
また、今回はチェロ奏者の森重靖宗さんが参加され、即興演奏で言葉を盛り上げ、
独特の世界が広がってこちらもよかったです。

       (詩織 より)
アンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」
Ⅰ・暗転の短い間に完全に姿を現したり、消したりするのが不思議。
 ・舞台上の沢山の椅子に座って、聴いている人の姿が実感できる気がした。 
                     (気配を感じたような気がした)
 ・照明の効果で、舞台が現実感を得たり、
  全くの異界のようになったり幻想的立体感感が興味深い。
 ・短歌は読むものというより声に出して感じるものなのだと痛感した。
  声により言葉が現実の世界に現われて、場を支配するような気がした。
  テキストは特有の象形は失われてもいい。

Ⅱ 声を聴くまで別人かと思った。原色はこの世の色ではないと知る。
  近頃 勤労者の服が黒に統一されたような感があるが、
  それぞれ黒が現実でガンバル人のきるものだとも思う。
  すたすたと去った後の光がほの白から、青白となり現実が戻り、
  音も独立感を取り戻したように感じた。

Ⅲ 光と音―光の変化と音の変化が、視覚に与える幻想的な影響にうっとりしていた。

アンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」
小学校のクラスでの質問で、
先生の答えはシンプルだけど
私が気付いていないことでした。

今の私にはストンとカラダに入ってきて、
明るくて優しくてシンプルな
みちしるべを示してもらった感じです。

         (女性)



二年ぶりのライブです。
えみさんの朗読を聴くと自然に自分の心と向き合うように思います。
聴きに来られてよかったです。
どうもありがとうございました。

         (女性)



前半、「ささやき」の声の力を感じる。
夜、寝る前に部屋をまっくらにして聞きたい。
後半、チェロが美しい。
すてきな一時でした。
最後、拍手する時間がもっと欲しかったと思います。

         (女性)
片瀬捨郎さんのアンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」
暖かかった。その手は暖かかった。
このところにぎった手はどれも冷たいものばかりだったのに、
その手は暖かかった。
「早く来てくださったのですね」と言われ、
入口でばったりと出会うとは思わなかったので、驚きながら、
名前を言うと、すっと手が、僕の手をにぎってくれた。
暖かかった。
会いに来て、良かったと思った。
開演前だというのに、価値がもう充分果たされたと思った。
今年もまた、大切な何かを手渡された気がした。
もう4回目になっていた。
ヤリタミサコさんのアンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」
・「損なうという語」の短歌、れいこさん、人生と世の中の状況が変わってきて
 また新たな悲しさ、新たな深みをもって迫ってきました。
 人間の根源的な悲嘆は、なくならないです。
・ステージの椅子は、その上に賢治さんがにっこりしているようでもあり、
 たくさんの見えない人たちが来ていたようです。
・ジョバンニとカンパネルラは、えみちゃんと笹井さんのようでした。


しんくわさんのアンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」

今回も素晴らしかったです。
女性というか母性的な部分が印象的でした。
舞台の光と影の演出がふんだんに使われていて
ぜいたくな気分で観ました。

北里義之さんのアンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」

森重さんが戻ってこられてよかったです!
ひさしぶりにDUOを楽しませていただきました。

飯田有子さんのアンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」

・チェロと声のバランスがすばらしかったです。
 「宗谷挽歌」のときの素朴な力強さ、一体感。

・舞台に椅子がおかれていて、今までたった一人で
 ステージに立っていた伊津野さんに何か変化が?!

・不穏な時代に一条光のさすようなテキストと短歌でした。

はんなさんのアンケートより「フォルテピアニシモ vol.8」

余計な事を一切言わず、作品の言葉だけを響かせ、
最後は朗読者の姿も消えていたのがとてもよかったです。
言葉だけに触れる機会の少ない現在、
伊津野さんの朗読に対する姿勢は希少価値だと思います。

マルイ衣料品下取りチャリティー
私が毎回おしている丸井の被災地支援の衣料品下取りチャリティーが、また始まっています。

* マルイ衣料品下取りチャリティー

私は自分自身が生きてゆくだけでも、なかなかたいへんなので、被災地にボランティアに行ったりすることができなく、苦しく思っていました。
改めて寄付をするのも限られてくると思うのですが、こちらは、着ないもの、使わないものを持ってゆくだけでいいのです。
震災から時が流れるにつれ、毎回、寄付の数が減っているようなのですが、自分自身が、全てを失って、2、3年で衣服を買うことができるようになるとは思えません。
また、被災地で需要がなかったものは、開発途上国へ送られるそうです。

* 動画

目の前の一食を抜いても、ただちに今日食べられなかった人に届けることはできませんが、衣類ですと、誰かのこの冬を少しでも暖かくすることができます。

今、この地球上に生きている人間同士が、少しでもお互いに協力し合い、少しでも苦しい人が減り、よりよい世界を創ってゆくことができたならと願っています。
震災以前は、不要なものだけをリサイクルに出すという感じでしたが、最近では、通院やリハビリばかりの日常のために、全く袖を通していなくて、いつか着ようと大切に取っていたものも、これを誰かのプレゼントにしたい。と思うことができるようになりました。

自分の隣の人を笑顔にしてゆくと、世界中が笑顔になることはできると思うのです。
それは、人間が人間である以上、無理なのだと思う一方で、実は、とてもシンプルなことにも思います。
みなさまは、どう思われますでしょうか?
プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

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フォルテピアニシモ vol.15
 
~ All can sing ~

http://paperpiano.la.coocan.jp/sing%20html.html

伊津野 重美 朗読

2017年11月3日(金・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

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伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

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「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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