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本のある風景  『本当は記号になってしまいたい』  斉藤 倫

DSC_1605.jpg


   「トランクのなかの一角獣が
    みつかりませんように
    みつかりませんように
    みつかりませんように
   「きみ トランクのなかの一角獣をみせなさい」
           
    (「空路」より部分 『本当は記号になってしまいたい』  斉藤 倫)
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『なにか、わたしにできることは? 』

不調箇所が増え、なかなか頑張ることができない日々が続いていた。
通院などのために、いつもより早く朝からばたばた出てしまうと、夜は疲れてしまっていた。

震災以来、体がもぎ取られるような激烈な痛みのなかで苦しんでいる人が多くいること、それなのに、自分が何もできないことを悲しく思う。
いろんな機能がうまくいかない私は、夏には部屋のなかにいても、熱まであがってしまう。炎天を歩いて帰ってくると、8度を越えることも十代の頃から少なくなかった。
こんな状態で、人に何かできるはずもなく、被災され苦しんでいる方々、被災地で支援をしている人達、猛暑のなかを抗議活動に参加している人達に、申し訳ないような気持ちで、無力感に打ちのめされていた。

なにか、わたしにできることは?
     ホセ カンパナーリ (著)、ヘスース シスネロス (イラスト)

犬と一緒に住んでいるおじさんは、新聞を読み、世界で起こっている全身がふるえあがるような記事に胸を痛め、不安でならなくなる。
けれども、「なにか、わたしにできることは?」という言葉が、自然に口から出るようになって、おじさん自身が救われてゆくのだった。
スタイリッシュで優しい画も、素晴らしい。
人種や種族を越えて、描かれていることに、画家のメッセージも感じて、胸がいっぱいになる。
素晴らしいコラボレーションで、1冊になっている。

大きな災厄にあった人達の役に立つことができなくても、隣人で困っている人、苦しんでいる人に声をかけ、手を伸べることができる。
目の前にいる人、隣にいる人を笑顔をしてゆくことがみなでできれば、人間は幸せになることができるのだ。


いちばん弱っていたのは、心だったかもしれない。

私には、言葉があった。

金のスプーン

予約していた本を受け取った時、なんでこのような児童書を借りてしまったのだろうと思っていた。
電車のなかでうっかり読み始め、若くして逝った友人のことを思い出し、涙が止まらなくて、すっかりアヤシイ人になる。
どうしてこの本を読みたかったのかが分かった…


今年は、日本列島が多くの悲しみに包まれました。 
災害に遭われ、苦しまれている方々に思いを寄せ、絶たれた多くの命のご冥福を祈ることしかできませんでした。
私は友人をなくして3年近く経っても、未だにこのような状態です。
ご家族を突如奪われた方々の悲しみ苦しみは、私の想像を越え、なんと声をかけたらいいのか分かりません。
大きな試練の前に、立ち尽くしてしまうしかできないこともありますが、いつか乗り越え、笑顔が戻ることを願っています。

忘れられない2011年が暮れてゆきます。
みなが大変だったなかを、私のことまで気にかけていただいたり、応援をしていただいたり、ライブにいらしていただいたり、今年もほんとうにありがとうございました。

目を開き、心を開き、真の英知をもって、よりよい未来を築いてゆくことができますように。
来るべき新年が、みなにとって明るい穏やかなものでありますように。



「あのう、さっき言ったでしょ?みんな、銀のスプーンをくわえて生まれてくるって。金のスプーンの人はいないの?」
「たまに、ね。何百人、いいえ、何千人に一人くらい。」
「ふーん…。やっぱり、いるんだ。」
 私は顔の筋肉を動かして、無理に笑顔を作った。
「でも、悪いことをしたり、なまけたりすると、金じゃなくなっちゃうんでしょう。昔話とか、みんなそうだもん。」
 女の人はぴくりとまゆを上げて、「いいえ」と言った。それから、静かな声で、ゆっくりと、こう言った。
「金のスプーンをくわえて生まれてくる人は、生まれつき、重い障害があって、長くは生きられない人や、そういう障害をかかえて、ずっと生きていかなければならない人、それから、そう、健康に生まれたにもかかわらず、戦争や暴力の犠牲となって、死んでいく子どもたち。私たちに、何か大切なことを教えてくれる人。」

(「レベル21」 さとうまきこ 理論社)

『アライバル』

虫の音と共に、日が短くなっていることに気付き、少しさびしい。
昼には30度を越えて残暑は厳しいものの朝晩は少し涼しい日も出てきた。
夕焼も月もきれいで、過ごしやすい日は朝に夜に夕方に少し外に出て、夕焼の空や星や月や山の稜線を眺める。
月の輝きに、もうすぐ十五夜だと教えられる。本格的な秋が始まる。

空も山も海も変わらずにそこにあるものを、震災以来、いや、ここ数年は風景を眺める心のゆとりがなかった。個人的な動乱の時期が、ようやく落ち着きを取り戻し始めたものの、そのダメージがまだ深く残っている。
生きてゆくことは苦しみの連続だが、それでも、そのなかで喜び、感謝し、与えられたものをありがたく日々を送りたい。もっと苦しい人達の無事を祈って…
そして、今日は、あの9.11より十年である。



110811_151229.jpg


ショーン・タンの『アライバル』は、映画は見逃したが、本が素晴らしかった。 
古い上質のサイレント映画を観ているような感覚になり、クラシカルではあるが、本としては新しい。
絵本を越えたグラフィック・ノヴェルになっている。
そして、栞はリボン…

言葉がない分、読む者によって、それぞれ世界が広がる。
おそらくは、戦争や紛争などの大きな脅威と暴力などから、失い、別れ、旅立ち、新天地を求めていった移民たちの物語…


ここ数年、私や被災者だけでなく、動乱の時期で岐路になるだろう。
敏感な者は既に感じているようだが、多くは相変わらず利欲に目が曇って眼前しか見えていない。むしろ我執に拍車がかかって、もう物事や状況が分からないようだ。
目を覚まさなければ、今後ますますさまざまなことが露呈してゆき、私達の道は分かれてゆく…

己が可愛さ、目先の欲にかられて、奪い、騙し、傷つけた者は、この世界で如何に富み、成功しようとも、自分の魂を確実に損なっている。
逆に、どれだけ奪われ、傷つけられたとしても、同じ場に堕ちないように気をつけなければならない。奪う者よりも奪われる者、傷つける者よりも傷つけられる者のほうが、ある意味幸せなのだ。

傷つけられて、自分も同じような邪を人にしようとするならば、『フランダースの犬』のネロのことを思い出せばいい。
どんなに苦しくても、そのせいで人や自分自身を損なってはならない。
今、私達は試されている。

けれども、苦しみや圧力のなかにいる人は、できるならば自分をそのなかにどうか閉じ込めないでほしい。できるだけ自分を守り、逃れて生き延び、生き生きとできる場所に自分を解放してほしい。
今いる場所だけが、世界の全てではない。
新しい生活を始めるのには、失い、別れるという痛みも伴うものだ。
けれども、恐れずに勇気をもって、新しい人生に踏み出そう。
きっと新しい別の「未来」が待っている。

「生命の回廊 vol.2」販売開始!

お待たせいたしました。

生命の回廊 vol.2』(2010.11)の販売を開始いたします。

なお、今年のイベントは終わっておりますが、お手に取ってご覧になりたい方は引き続き、「生命の回廊」の情報ページをご覧ください。イベントなどありましたら、お知らせいたします。

お申し込みページから、下記を明記のうえ、ご連絡をお願いいたします。


◇ メールの件名に <『生命の回廊』申し込み>

◇ ご希望の号と冊数

◇ お名前、ご住所、メールアドレス


一週間たっても返信がない場合は、サーバーの不具合と思われます。
お手数ですが再度メールにてご連絡をお願いいたします。
どうぞよろしくお願いいたします




生命の回廊 vol.2 

定価    1,000円
編集・発行 伊津野重美
発行    2010年11月


 

 ◇ 「生命の回廊 vol.2」目次 ◇


笹井宏之  飴色時間/きっとうつくしいものを
伊津野重美  ちいさな炎
三角みづ紀  寝室にて。/窓にて。/台所にて。
浦歌無子  雨遣いRの話



ひろたえみ  Swing low
飯田有子  透明な卵
斉藤倫  短歌習作
ひぐらしひなつ  天の銀器
しんくわ  五月五日 八月十五日
伊津野重美  imperfection 
樋口由紀子  裏の紫陽花



樋口由紀子  虫であった頃に見ていた東京タワー
伊津野重美  断章 ― 桜 ―
ひろたえみ  ミトリズ



飯田有子  わたしの『ひとさらい』メモ・リミックス
ひぐらしひなつ 「闘わない歌人」の闘いかた、または世界との接続方法について
岸田将幸  詩を確かめる

プロフィール

いつのえみ

Author:いつのえみ
伊津野重美 

第一歌集『紙ピアノ』
1st Album『ひかりの素足』
詩誌『生命の回廊』発行・編集。

********************

フォルテピアニシモ vol.14
 
~ Keep the holy fire
       burning ~

伊津野 重美 朗読

2016年11月3日(木・祝)
12:30 開場/13:00 開演

場所:STAR PINE'S CAFE

前売・予約¥2,500円+1drink
ペアチケット前売・予約のみ
     ¥4500+2drink
当日¥3,000円+1drink
チケット前売発売10月3日より
 前売は店頭販売かweb予約
予約アドレス
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f7f014c8172636

STAR PINE'S CAFE
http://www.mandala.gr.jp/

**********************

伊津野重美 1st Album 

『ひかりの素足』
歌人伊津野重美による初の朗読アルバム。
ゲストにチェリスト森重靖宗を迎えて、
宮沢賢治の童話「ひかりの素足」と
日本近代詩の抒情世界を精緻に紡ぐ。

全9曲、48分。定価 2,500+税

**********************

「生命の回廊 vol.3
『えーえんとくちから 
  笹井宏之作品集』特集号」

2011年11月刊行

井口和泉 浦歌無子 
岸田将幸 斉藤斎藤
斉藤倫 樋口由紀子
ひろたえみ 三角みづ紀
ヤリタミサコ 夕暮マリー
伊津野重美

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